"Ask more, Learn more." "Ask better, Learn better, Live better."

   

  

 前回までは「問学によって何を得るのか」について述べました。すでに示しましたが、上の図が、そのまとめとイメージです。問い学ぶことを通して、知識やスキルを得たり、さらに「物事の本質を見極め、正しく判断する」智恵を得ることが可能になることを述べました。

 

 「学問」の英語を "Learning and Inquiry" だとすれば、「問学」は、"Inquiry and Learning"となるでしょう。但し、「白黒」は "black and white" と表現され、「フォークとナイフ」は "knife and folk" となるようように、「問学」も "learning and inquiry" と表現しても良いかもしれません。

 

 いずれにしても、幾分かの堅苦しさは避けられません。JACET(大学英語教育学会)関西の紀要に掲載して頂いた拙論の日本語のタイトルは、「反転授業:アクティブ・ラーニング実現は「問い学ぶ」教育に道(よ)る」ですが、英語タイトルは、Flipped classroom at High School in Japan: a Step toward Proactive "Learning and Inquiry" にしています。

 

 対話する中で、もっと気軽に言うことができる表現はないかと考えていると、まず最初に、"Ask more, Learn more."(より多くを問い、より多くを学ぶ) が浮かびました。実は、この表現のヒントは、シンガポールの教育方針を示す、"Teach less, Learn more." です。生徒の学びを考える際に、教師が今までよりも教えることを少なくし、生徒の学びをより多くしようとする方針が頭の隅に残っていたからです。21世紀スキルの修得を目指しているシンガポールらしい表現であると感じていたからです。この "Teach less" を "Ask more" に代えて表現しました。

 

 次に、多くを問うだけでは足りないと思い、その質を高めるという意味で、"Ask better, Learn better." (より良く問い、より良く学ぶ) を考え出しました。より良く学べば、より良く生きることにあると考え、"Live better" を加え、"Ask bettter, Learn better, Live better." としました。すなわち、「より良く生きる」ために、「より良く学び」、それを行うために「より良く問う」があるのではないかと結論づけました。「問学」は、「より良く生きるための学び」のことであり、 より良く生きるために必要な「知識・スキル・智恵を獲得する」のが「問学」です。それ故、「問学」は、

 

『より多く問い、より多く学ぶ。』

『より良く問い、より良く学び、より良く生きる。』

 

ことであると言うことができます。「問学」する人は、より良く生きることができます。日ごろからこの言葉を念頭に置いて少しでも実践すれば、何歳になっても成長する日々を送ることができるのではないでしょうか。