前回のブログでは、「主体的な学び」の英語表現を proactive learning としました。主体性を考える際、それと比較する対抗軸を用いることでより明確になります。その対抗軸が、reactive 「反応的」と inactive 「行動的ではない」「不活発」な学びであり、それぞれは、reactive learning, inactive learning と表現します。
「アクティブ・ラーニング」は、児童・生徒・学生である「学習者」が対象とされます。しかし、私は「主体的な学び」(proactive learning)の対象を「学習者」だけでなく「教師」も含むものと見なします。それぞれに3種類の形容詞を付け、分類し、その組み合わせをすることで、「学習者」と「教師」の複数のタイプの関係から「主体的な学び」の姿を、より鮮明に読み取ります。
すなわち、「学習者」とは、
①「主体的学習者」(Proactive Learner: PL)
②「反応的学習者」(Reactive Learner: RL)
③「不活発学習者」(Inactive Learner: IL) であるとします。
一方、「教師」に関しては、
①「主体的教師」(Proactive Educator: PE)
②「反応的教師」(Reactive Educator: RE)
③「不活発教師」(Inactive Learner: IE) とします。
それぞれの組み合わせは、9通りになります。
1 「主体的学習者」(PL)「主体的教師」(PE)
2 「主体的学習者」(PL)「反応的教師」(RE)
3 「主体的学習者」(PL)「不活発教師」(IE)
4 「反応的学習者」(RL)「主体的教師」(PE)
5 「反応的学習者」(RL)「反応的教師」(RE)
6 「反応的学習者」(RL)「不活発教師」(IE)
7 「不活発学習者」(IL)「主体的教師」(PE)
8 「不活発学習者」(IL)「反応的教師」(RE)
9 「不活発学習者」(IL)「不活発教師」(IE)
になります。これを表にしたのが下の画像です。
見やすくするために便宜上、「主体的学習者及び教師」は 〇、「反応的学習者及び教師」は △、そして「不活発学習者及び教師」は Ⅹ の記号を用いました。
画像を見て、それぞれの組み合わせが理解できると思います。「主体的な学習」と言う場合には、右上に位置する「主体的学習者」(PL)「主体的教師」(PE)の組み合わせで行われる授業の状況を指すものとされます。「アクティブ・ラーニング」においてもこのことが当てはまりますが、時折、生徒の学習活動が活発であるように見えるため、右の中段に位置する「反応的学習者」(RL)「主体的教師」(PE)が含まれることがあると推測されます。教師による指導の下で常に学習を行うのでは、それを「主体的な学び」と呼ぶことには無理があります。しかし、この段階で満足するのではなく、「主体的学習者」に至る過程であると捉えると、次の段階に向けての教育を目指すことが可能になります。
次回は、この関係図を用いて、私の反転授業の実践を検討します。
(参考文献)
中西洋介(2017).「反転授業:アクティブ・ラーニング実現は「問い学ぶ」教育に道(よ)る」大学英語教育学会(JACET)関西紀要 第19号 p.21-39