昨年(2017年)の10月は「主体的な学び」(proactive learning)、12月は「対話的な学び」(dialogic learning) について私見を述べました。今回は、「深い学び」(deep learning) について述べることにします。
私は「深い学び」の英語を直訳して deep learning としていますが、deep learning と言うと、AI(人工知能)の機械学習を思い浮かべる人もいるでしょう。AIの場合の deep learning は、「深層学習」と訳されているようです。一方、英文の「文部科学省の概要」'Overview of the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology' では、 'proactive, interactive, and deep learning' の表現があり、これは「主体的・対話的で深い学び」と相当します。もし「深層学習」の英語表現と異なるものを考えると、deeper learning でも良いのではないかと思います。deep を比較級の形に変えた deeper は、「より深い」を意味します。過去より現在、現在より未来に渡って、学習者の学びがより深くなるという意味を伝えるには deeper learning もありかと考えます。
いずれにしても、「深い学び」とは何かを考える際に、参照点(reference point)をどこに設定するかが不可欠になります。「深い学び」に携わる者が、各々が参照点を持ち、深い学びを判断・評価すると混乱が起こりうるからです。何を基準に「より深い」のかを常に念頭に置きならが、学びを深化させていくのに何が必要であるかと知ることも必要になります。学びを深化させるものに、「問い」があります。「問い」→「学び」→「問い」→「より深い学び」→「問い」→「さらに深い学び」・・・という、ある学びの連続がより深いものとなるのが分かります。
深い学びは、あることについて過去の学びから現在の学び、そして未来の学びと連綿と続くことにより得ることができるものだと思います。そのためには、参照点や問いを持つことが不可欠です。