「主体的・対話的で深い学び」と「問学」

 これまで「主体的・対話的で深い学び」を「主体的な学び」「対話的な学び」そして「深い学び」に分け、それぞれについて私の解釈を書いてきました。今回は、それらを合わせて、問学との関係について述べることにします。結論を言うと、「主体的・対話的で深い学び」を実現する方法として、問学は極めて有効であるということです。以下がその理由です。

 

 「問うこと」と「学ぶこと」を合わせた「問学」は、問うことで学びが促進され、学んだことを土台にしてさらなる問いが生まれ、学びがよりいっそう促進されるものです。これは、らせん階段を上に登っていくようなイメージです。その過程で、知識やスキルを身につけるだけでなく、より高度な知識やスキルも体得しながら、その先に、学ぶ対象の本質を掴み、正しい判断を可能にする智恵の獲得を目指すものです。

 

 学ぶ対象の「知識、スキル、智恵」を得るためにある「問学」は、「主体的・対話的で深い学び」と密接な関係があります。自ら「問う」ことによって、「反応的」(reactive)ではなく「主体的」(proactive)な態度になります。また、「対話的な学び(その3)」(2017年12月31日のブログ)で紹介したように、「対話は、共有される問いである」ので、問いによって「対話的」になります。問いを通した「主体的・対話的に学び」によって得た知識やスキルなどを踏まえ、そこからさらなる問いが生まれます。これは、「問い」→「学び」→「問い」→「学び」→「問い」…という連鎖になります。この連鎖を経て、より深い知識や高度なスキルなどを得ることができれば、それは「深い学び」となります。学びの深さは、以前の学びとの比較となるので、学びの結果を示すものとなります。

 

 このように、問いと学びによってどのような心の働きをなすのかを知れば、「主体的・対話的で深い学び」を実現するためのヒントが見つかるでしょう。以上から「主体的・対話的で深い学び」は「問学」と深く関わるものと考えます。