今年の京都大学の英語問題で、第1問の英文の出典は、 Wait, What? And Life's Other Essential Questions からでした。p.83 から p.85の英文です。アマゾンでは売り切れだったのですが、昨日、帰宅途中に立ち寄った紀伊国屋書店では洋書のバーゲンセール中だったので、何か面白そうな本がないかと探していたところ、この本がバーゲンに出品されていました。すぐに購入し、本日、読み終えました。文字も大きく、ページ数も140ページに満たない本です。
著者である James E. Ryan氏は、ハーバード大学教育大学院の学院長をされています。卒業式で行ったスピーチが切っ掛けで、今回の本を書くことになった、とのことです。
本のタイトルにあるように、 'Wait, What?' 「ちょっと待って、それって何?」を含む、5つの問いについての効用を、様々な話を入れながら、書いています。
"Wait, What?" is at the root of all understanding. (p.133)
「ちょっと待って、それて何?」の問いは、全ての理解の根柢にある。(拙訳)
(解説)この問いによって、不明な部分を聞き流さずに、話を止めて聞き直すことによって、不要な誤解をさけることができる。
"I wonder ...?" is at the heart of all curiosity. (p.133)
「…かしら」は全ての好奇心の中心にある」(拙訳)
(解説)例えば、I wonder why ... は、好奇心を表し、現在に注意を向けるに対して、I wonder if I could ...は、未来に考えを向けることができる。
"Couldn't we at least ...?" is the beginning of all progress. (p.133)
「少なくとも、私たちは…することができませんか?」は全ての発展の始まりである。(拙訳)
(解説)この問いにより、お互いに歩み寄ることができる。それがこれからの発展につながる。
"How can I help?" is at the base of all good relationships. (p.133)
「どのように私は助けることができますか?」は全てのよい関係の基となる。(拙訳)
(解説)親切の押し売りではなく、助けを申し出る相手が問題の当事者として尊重した上で、援助を申し出ることができる問い。京大の問題は、この問いについての英文が出題されました。
And "What truly matters?" helps you to the heart of life. (p.133)
そして、最後に「本当に重要なことは何か?」を問うことにより、人生の中心が何であるかに辿りつくことができる。(拙訳)
(解説)この問いは、自分の人生にとって重要なことを知ったり、思いださせてくれる。
著者は、問いについて、次のように述べています。
"Questions are like keys. The right question, asked at the right time, will open a door to something you don't yet know, something you haven't yet realized, or something you haven't even considered - about others and about yourself" (p.20)
「問いは、鍵のようなものである。適切な問いは、適切な時期になされるならば、他人や自分自身について、知らなかったこと、気付かなかったこと、あるいは考えてもみなかったことの扉を開けるのだ。」(拙訳)
問いの効用について、私が知らなかったこと、気付かなかったこと、考えてもみなかったことを教えくれた本でした。
(参考文献)
James E. Ryan (2017). Wait, What? And Life's Other Essential Questions. Harperone