原書を読むことの1つの利点-キーワードの把握-

 前回のブログでは、洋書を読むことで考えを深めたり、新たな視点を得たりすることを具体的な表現を紹介して示しました。それは、 "Not everything that counts can be counted, and not everything that can be counted counts." 拙訳は「重要なものすべてが数値化できるとは限らない。そして数値化できるものすべてが重要であるとは限らない。」です。この訳は、私が反転授業に関心がある方に知ってもらいたいこととして表したものです。

 

 それでは、上記の英語の言葉が書かれていた洋書の和訳がどうなっているのかを、知りたくなったので、図書館に行き、それぞれの翻訳本の箇所を探しました。以下が、それぞれの訳です。

 

 「大切なものがすべて計測できるとは限らず、計測できるものすべて大切とは限らない。」(『ザ・セカンド・マシン・エイジ』p.199)

 

 「重要な事柄がすべて数字で表せるわけではない。また数字で測れるものすべて重要なわけではない。」(『超予測力』p. 333)

 

 「数えられるものすべてが重要なわけではなく、重要なものすべてが数えられるわけではない。」(『テクノロジーは貧困を救わない』 p.140)

 

 どれも意味は十分に伝わります。しかし、これらが全て同じ英文からのものかを知ることは難しいのはないでしょうか。英語では同じ表現なので、それらが繰り返し、目にすると、自分にとって重要な言葉であることに気づく可能性が高まります。その言葉を基に思考することが促進されることを、私は実感しています。このようなことが、原書を読むことの利点の一つであると考えられます。


(参考文献)

エリック・ブリニヨルフソン、アンドリュー・マカフィー著 村井章子訳(2015)『ザ・セカンド・マシン・エイジ』 日経BP社

フィリップ・Eテトロック、ダン・ガードナー著 土方奈美訳(2016)『超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条』 早川書房

外山健太郎著 松本裕訳(2016)『テクノロジーは貧困を救わない』 みすず書房