先日、他校の高校生(一部は中学生)に講演をしました。彼(女)らは、東京大学、京都大学や国立医学部などの難関国公立大学を志望する生徒です。今まで校外で講演や研修をする際は、教員や教育関連企業の社員向けに話をしてきたので、今回はいささか趣が異なりました。しかし、日ごろ勤務校の生徒に話していることをアレンジした内容について話をし、思った以上に生徒たちの反応が良かったので安心しました。
依頼を受けた際、話す演題及び内容は私に任されました。講演時間は100分という長時間であることもあり、色々考え、まず演題を「英語を学び、英語で学ぶことー大学入試英文から得る情報の価値-」としました。生徒たちは大学試験に合格するために頑張って勉強をしているので、その勉強には合格するための価値以外にもあることを知ってもらいたい思いました。
今年の1月28日付けのブログ(大学入試英語問題-出典を知らせる意義-)で書きましたが、大学入試の英文は近年話題になった本から引用が多く、情報の点において価値があります。そこから得られるキーワードや知識は役立つことがあり、入試問題を解くためだけに終わらせるのは大変勿体ないことです。逆に言えば、生徒たちが入試問題で触れる英文の価値を理解すれば、それだけ受験勉強をするモチベーションが上がることが期待されます。
例えば、京都大学の一昨年度(2017年2月)で出題された英文(第1問)は、MIT Press(マサチューセッツ工科大学出版)からの The Arid Lands:History, Power, Knowledge です。この本は History for a susutainble future(持続可能な未来への歴史)シリーズの1冊です。学術書ですが、京都大学は、このレベル英文を読むことが出来ることを求めてるということです。原書を購入し、読みましたが、本の趣旨は入試問題の箇所です。その趣旨を歴史を遡って、具体的に述べている本です。京都大学受験で合格するために、ここまでの英文を読むことができるように英語を学んでいると言えます。他の難関大学も同様に、かなり知的レベルが高いものが出題されています。
生徒たちにそれだけのレベルに向けて英語を学んでいるを知ってもらい、さらに私が期待したいことは、大学受験で合格するために英語を学んだ後は、出典となった本をすらすら読めるくらいになり、生涯に渡って英語で学ぶようになって欲しいということです。このような思いから、演題を「英語を学び、英語で学ぶことー大学入試英文から得る情報の価値-」としました。
ただいきなり、大学入試問題の出典ばかりを語っても理解するのが難しいかと思い、話す項目を「英語を情報を得るメリット」「英語の発想を使って日本語を考える」「英語力の三層構造」「Cultural Literacy (文化的背景知識)」「近年の大学入試英語問題の傾向について」「入試問題から知るキーワードとベストセラー本」に分け、具体例を挙げながら、時には問いかけをして生徒たちに考え答えてもらい、100分の講演会を終えました。数日前に感じたAI翻訳のすごさを追加して話したので、最後の「入試問題から知るキーワードとベストセラー本」についてあまり触れることは出来なかったかのですが、生徒たちは真剣に聞いて、よい反応をしてくれたので、あっという間の100分でした。広範囲で多くのことを伝えたので理解するのに難しい部分もあったと思いますが、生徒が何か1つでも得て日ごろの学びに役立ててもらうことが出来たら、幸いです。