学校教育においてよく「資質・能力」という言葉を耳にします。以前、私は「資質・能力」を「知識・スキル・態度」に置き換え、さらにそれらを示すものが「コンピテンシー」(Competency)であると述べました(2017年9月5日のブログ)。
このことから、「資質・能力」を考える場合、「資質」が「態度」のことであり、「能力」が「知識・スキル」になります。資質を態度として考えると、教員がどのような態度で教育を行っているかを観察することによって、その教員の資質が見えてきます。
「態度」を英語で表すと、attitude になります。この英語に mental 「心的」を加えると mental attitude 「心的態度」となり、一言で言えば、mindset「マインドセット」になります。「マインドセット」は「心構え」として理解されることがありますが、近年、「マインドセット」とそのままで使用されています。これらから、「態度」は「マインドセット」を含めたものと考えると、より広い視野で、教員の「資質」を観察するのが可能になります。
心的、精神的な面と行動面の態度を方向づけるのが「価値観」values です。例えば、ある教員が、授業に関して「生徒に教える」ことのみを大切とする価値観を持つ場合と、別の教員が「生徒に教える」だけなく「生徒が学び成長する」ことが大切であるという価値観を持つ場合では、授業に臨む態度において大きな違いが出てきます。
英語の表現において、knowledge, skills, attitudes and values という言い回しを見かけます。OECDの描く2030年に向けての教育を表す冒頭の画像(The OECD Learning Framework 2030)にも、この言い回しが使われています。この画像の左にある Knowledge, Skills, Attitudes and Values が絡まったものが Competencies 「コンピテンシー」を成しています。
「資質・能力」の「資質」を具体的に考える上で、「態度」だけでなく「価値観」の視点を持つことにより、より広範な視野を持つことができます。