3年前に教育界で「非認知能力(スキル)」という言葉が流行りましたが、それに関する書籍が現在でも出版されていることから、その言葉の注目度は今だ健在のように思われます。
私は「非認知能力(スキル)」を「性格特性」や「人格」の言い換えであると理解しています。理由は、Paul Tough氏の著書 How Children Succeed: Grit, Curiosity, and the Hidden Power of Character で、「非認知能力(スキル)」(non-cognitive skills)は経済学の用語であり、「性格特性」(personality traits)は心理学用語、そして「人格」(character)が世間一般で使用されている言葉であるとの説明があったからです。
確かに、「非認知能力(スキル)」が日本で知られるきっかけは、慶応義塾大学中室準教授による『「学力」の経済学』でした。中室牧子氏の専攻は、教育経済学です。その能力(スキル)は、ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン氏らの研究により世界的に知られるようになったことが背景にあります。
「認知能力(スキル)」は試験などで計測、数値化できる能力のことで、学校での試験で示される学力はそれに相当するものと考えれます。一方、「非認知能力(スキル)」は、明確に数値化するのが困難とされるもので、代表的なものは「ビッグ5」があります。「ビッグ5」とは、主要な5つの性格特性を示し、それらは、OCEAN 、すなわち Openness 「開放性」、Contentiousness「勤勉性、誠実性」、Extroversion「外向性」、Agreeableness「同調性」、Neuroticism 「精神的安定」です。
「非認知能力(スキル)」が注目されるようになったのは、「勤勉性、誠実性」などが「認知能力(スキル)」に大きな影響を与える点です。学校での学力を伸長させるものは、生来持っている頭の良さだけではなく、コツコツ真面目に努力できることであるというは、明白です。「~は努力家である。」という時、その人の「性格」や「人格」を表します。
努力の大切さや、いかなる状況においても動じないことの偉大さといったことは、日本でも昔から言われてきたことです。それらを態度は、その人の「性格」や「人格」を示すものです。完全に一致するとは限りませんが、「非認知能力(スキル)」を「性格特性」や「人格」に置き換えて理解すると、どのような内容ついて語られているのかが、より明確に理解することができます。