英語教員の価値-『お金2.0』の「価値」の3分類から-

 前回のブログでは、英語教員の3つの座標軸、つまり、英語を「教える者」、「学ぶ者」、「使う者」、について書きました。今回は、佐藤航陽著『お金2.0』にある「価値」の3分類を紹介し、英語教員の価値を3座標軸と絡めて、述べることにします。

 

 『お金2.0』では、これからは資本主義から「価値主義」になると書かれています。

「今後は、可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想できます。」(p.163)

 

 それでは、その価値とは何か?となりますが、同書では価値を3つに分類して説明しています。

有用性としての価値

「経済、経営、金融、会計などで価値という言葉が出たらこの有用性、有益性、実用性としての価値を指しています。一言で言えば、「役に立つか?」という観点から考えた価値です。」(p.166)

内面的な価値

「愛情・共感・興奮・好意・信頼など、実生活に役に立つわけではないけれども、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす時に、価値があるという表現を使います。」(p.167)

社会的な価値

「資本主義は個人の利益を追求していくことが全体の利益に繋がるおいう考えです。一方、慈善活動やNPOのように、個人ではなく社会の持続性を高めるような活動も私たちは価値があると表現します。」(p.167)

 

 同書では、この価値の3分類を用いて、①の価値のみの資本主義から、①から③を包括する「価値主義」になると述べられています。経済が門外漢である私はこの主張の是非を語る器量はないのですが、上記のように3分類した価値は、英語教員の価値を考えるに当たって、新しい視座を与えてくれます。

 

 英語教員の価値をこの3分類で当てはめて考えると、以下の価値となり得ます。

①有用性としての価値:生徒に英語の知識やスキルをいかに上手に教える価値

②内面的な価値:生徒に英語を学びことを通して成長するなどのポジティブな効果を及ぼす価値

➂社会的な価値:生徒に①や②の価値を出来る限り提供することで、生徒が社会の一員として活躍できるようになる価値

 

 この3つの価値に基づいた英語教員を私自身に当てはめると、理想と現実の大きなギャップを感じえません。このギャップを少しでも埋めるために、前回のブログで紹介した、英語教員の3座標軸、-英語を教える、学ぶ、使う、ーを自らが実践し、高めていくしかないと考えています。


(参考文献)

佐藤航陽(2017)『お金2.0:新しい経済のルールと生き方』 幻冬舎