前回のブログで紹介しました「価値の3分類」、すなわち「有用性としての価値」、「内面的な価値」そして「社会的な価値」がどのように内在化しているかを知る術として「問い」があります。その問いにより、どのような答えをするのかで、その人が抱く価値観や将来のビジョンを知ることが出来ます。
洋書を読んでいると時折引用される挿話(色々なバージョンがあります)です。それは、建設場での問答です。仕事をしている人に、「あなたは何をしているのですか?」(What are you doing?)とある人が問います。
一人は「私はレンガを積んでいます。」(I'm laying a brick.) と答えました。
もう一人は「私は壁を建てています。」(I'm building a wall.) と答えました。
最後の人は「私は大聖堂を建てています。」(I'm building a cathedral.) と答えました。
同じ事(レンガを積む)を行っていても、頭に描いているビジョンを大きく異なっています。最後の人は、一つ一つレンガを積むことによって、どこに行きつくのかを明確に思い描いていることを知ることが出来ます。
この挿話を、高校現場で生徒が英単語を学習の場面に置き換えると、次の答えが予想されます。
一人は「私は(授業の小テストのために)英単語を覚えています。」
もう一人は「私は大学入試対策をしています。」
最後の人は「私は英語を習得しようとしています。」
同じ単語を覚えるにしても、この三人の単語の定着度は大き異なるでしょう。違いは、英語で言う Commitment(全身全霊で物事に取り組むこと)の度合いの差です。集中して、時間と労力を惜しまない行為を支えるものは、将来のビジョンであり、その人が持つ価値観です。それを知るには、「あなたは何をしているのですか?」という問いから得られることあります。
(参考文献)
Annet Simmons(2006). The Story Factor: Inspiration, Influence, and Persuasion through the Art of Storytelling Basic Books